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【生産技術の視点】生産現場が本当に欲しいITってなんだろう-詰所編【考察】

この記事は約9分で読めます。

前回記事の続編です。前回は現場のITでした。今回は詰所作業のITです。
詰所作業=事務作業の事をいっています。

今回は事務のITについて私の考えを書きました。
生産技術の視点です。というとおまえ立場ちゃうやないかーいとなりますよね。

安心してください、聞いてますよ。現場の監督者の話とやらを。
毎日詰所に行ったかいがありました。
ええ、任せてください(虚勢)。

結論

現場のOJTのみによるデータ処理作業はやれることに限界がある

  • 簡単で汎用性のあるITの超基本的なコマンドやテクニックを事前に集め"明示する"
  • あらかじめ決めた関係を自動でグラフ化してくれるシステムを構築する
  • IT部門よ、現場に触れ現場を知るべし(仕組み作りが必要)

簡単で汎用性のあるITの超基本的なコマンドやテクニックを事前に集め"明示する"

現場は工場システムに日々の作業内容を入力します。入力内容は製品の品質(寸法・温度など)、不良個数(内容・個数など)、設備のパラメータ(荷重・電流・異音など)です。しかしながら、工場のシステムは今までの振り返りや分析のためのデータフォーマットになっていません。

EXCELを例にしてみる

監督者は不良数(不良の種類は問わない)の多い製品番号を数か月の期間でTOP10としてグラフに並べたい作業をするとします。パレート図のようなものをイメージしてもらえると良いでしょう。早速、監督者は工場システムから製品番号・期間を入力します。システムは数千行・数列の大きなリストをはきだしました。

おや、監督者はマウスで数千行・数列をドラッグで選択しだしました。監督者は時間を3分以上無駄にしてしまいます。後、指をドラッグし続けた指を猛烈に疲弊させてしまいました。

やっとの思いで数千行・数列の範囲選択を完了しました。と思ったら、間違えて左クリックをしてしまいました。なんという事でしょう、今まで苦労してやった範囲選択は1秒もたたないうちに解除されてしまいました。監督者は泣く泣くまた3分以上を犠牲に、指をムチ打ちして同じ作業をすることになってしまいました。

ようやく範囲選択を完了しました。監督者は同じ過ちをしまいと人差し指を天高くつきたて、中指をレーザーのごとくまっすぐに伸ばします。つられて親指は自然と中指に垂直になっていました。その様はまるで美しいほどのフレミング右手・左手の法則を体現していました。監督者はその美しさすら覚える中指でマウスを右クリックします。そしてコピーのコマンドを選択。監督者はほっと胸をなでおろしました。

もう大丈夫だ。後はEXCELに貼り付けるだけだ。監督者はまたマウスを右クリックして貼り付けコマンドを選択しました。

ああ、なんということでしょう。監督者は愕然としました。それは絶望にも似た表情でした。

監督者は貼り付けたデータをなんの疑いもなくグラフ化しようとしました。するとどうでしょう、うまくグラフが表示されません。なぜか0の値が大量にあるグラフができてしまいました。もしや…!?そうです、セルは結合されていたのです。1つのデータにつき4×4のセルが結合されていました。

監督者は明らかに不機嫌な顔で数千行・数列のセルを再びドラッグで選択、結合を解除しました。そして、空白のセルを一つ一つ、丁寧に削除をしたいったのです。2時間以上をかけて。

そして何とかX軸が製品番号・Y軸が不良数のTOP10のグラフを完成させたのでした。

圧倒的なEXCELの教育不足(OJTの限界)

長々とEXCELの空欄の削除による工数の無駄づかいの例を書きました。これって製造業の現場あるあるだと思っています。もう予備知識がなさすぎてOJT(という名の一人でコツコツ調べる作業)では限界があるのです。

おやおや、ググればいくらでもでてくんじゃん、OJTできんじゃんという声が聞こえてきました。そう思うのは当たり前だと思います。ただ現場は次の事が障壁となって"自ら調べる"という事ができにくくなっています。

  • 現場作業で疲れ果てている
    私も生産技術をやっていた時に肌で感じたのですが、現場作業の肉体労働は恐ろしく大変です。本当にやべーですから。
    あと監督者は都度変化する現場の不具合や業者さんの対応やら打ち合わせやら。結果、月残業が45hオーバーとかざらです(ただし36協定は引っかからない魔法をつかいながら)。そのあとでEXCELの勉強だ!とかいっても寝る確定です。
  • 調べ方が分からない
    え!?やりたいことそのままググればいいじゃん?とか言わないであげてください。やりたいことそのままググったとしても、出てくる内容が本当にあっているかは当人たちのEXCEL経験の問題で分からないのですから。
  • 今やっている業務とジャンルが違い過ぎて習得が悪い
    目的の内容にありつけたとしても、初めてのことなので関数一個を覚えるにも時間がかかるし頭が疲れる。
    過去に私の記事で「現場でVBAの学習は担当者の負荷がかかりすぎる」ことを述べていますが、これと同義です。検索でカギカッコ部をコピーしてページアクセス→Ctrl+Fで検索してみてください。

IT屋は上記の内容が分かっていません。わかるはずもありません。現場作業、やったことないですから。だからググれとか平気でいえるのでしょう。組織・成果の観点でいえばそれが正解なのでしょうかけどこれからは違うと思うんですよね(金にならん人間性が求められるかと)。まぁ逆にIT屋に聞いてあげましょう。「検査工程一つだけ例にとりましょう、ある製品番号で3~5kg/個のものを600個持ち続けなければいけません。それが20以上の製品番号あります、そのあとでEXCELの勉強、できますか」。

頻出コマンドを事前にそろえておく

現場の方に対してはOJTという名目でEXCELを使いこなすのは無理があります。対策も色々考えられるのですが、私は「頻出コマンドや操作を一通り準備しておく」という事だと思います。

ググればパッと出てくる情報をリスト化しておくのです。「この作業をするために必要な関数・コマンド集」があればよいです。そんだけか!?でしょうが、そんだけです。ただ、現場の人はそれだけでも嬉しいものです。これを使えば正解ということがわかるのですから。自分で調べて「これが俺の欲しい動作かなぁ?」とかいちいち10分15分60分(?)考えることはなくなるのですから。

なにかしらの表データからグラフ化までしてくれるIT

工場システムで所望のパラメータ同士の関係をグラフにすれば、現場の監督者は泣いて喜びます。なぜなら現状の工場システムの状況をかんがみれば、監督者の教育コストはかからず、かつ現場の困りごとに対応する姿勢が現場の一人一人のITに対する認識として前向きなものになるからです。

また、今回のような資料は最後に会社の偉い人に色々な発表(不良報告や改善の報告)で使われるわけですが、どこぞの営業やコンサルが出すようなパワポ資料を作る必要はありません。前提として、会社の偉い人たちはきれいな資料で発表してくれる可能性は低いだろうという認識で見てくれる事がほとんどだからです。そのためとにかく超シンプルなグラフを作ることに着目すればよいことなります。写真をベタ貼、体裁の整っていないテキストボックス…それでもいいのです。

一次情報(現場のありのままの姿)を出せるシステムであることが最優先です。

例はまたもEXCELで

現場の監督者は先ほど述べた、そもそもITの超基本的なコマンドやテクニックを知りません。え、製造の現場って本当にこんなこともできないの、と絶望と失笑に感じるかもしれません。

現場の監督者は単純な積み上げグラフや折れ線グラフを作るためにセル1つずつに対し全て手作業で、1時間~酷いときは数時間をかけて、グラフ1つを作っていきます。グラフを作るための前段段の作業で時間を真夏の炎天下にさらしたソフトクリームのように溶かしていきます。

しかし、逆に言えば単純な積み上げグラフや折れ線グラフができればいいわけで、データをコピー&貼り付けでグラフにできるひな形ができればいいことになります。

本当に欲しいITとはほど遠いとはいえ、工場のITは表の形式のデータであれば一通りそろっています。ただしEXCELにあったフォーマットにはなってません(セル結合は当たり前)。値で貼り付けても空白セル地獄が待っています。現場の監督者はデータの編集作業をしなければいけないのですが、まぁこれが嫌で嫌で仕方ないわけです。

IT部門よ、現場に触れ現場を知るべし(仕組み作りが必要)

今回のような内容はひとつ重大な問題をみていません。誰がやるのか?です。はい、IT部門です。ここで条件があります。IT部門は会社の組織的な制約上、現場に直に触れることができないところがほとんどだと考えます。

IT部門が現場作業をするためには次のいろいろな問題をクリアする必要がでてきます。

問題の内容問題の詳細対策
安全の問題ケガでもおきたら
対策が超大変
最悪活動そのものが停止
(IT屋に作業やらすな運動勃発)
現場監督者による作業指導
(人による作業のため、現状つきっきり
 これしかない)
人選の問題
(時間の問題)
安全の問題と直結
IT部門の戦力低下
現場のIT人員の対応
当の本人たちを守る組織づくり
(ヤジを飛ばす輩は必ずでてくるため)
仕事の問題費用対効果の壁を
超える必要あり
仕事として扱えるようにする
現場・IT部門が束でかかる
(OJTによる限界→仕組みづくりの
ニーズを偉い人たちに強烈に示す)

何が言いたいかと言うと、IT部門はコマンド集を作るにせよ、グラフ化するシステムをつくるにせよ、現場が処理したい背景・目的をおさえなければいけません。その背景・目的は会議による資料のやりとり、電話やメールのやり取りによる作業だけの解決では絶対に達成することはできません。

そうです、めんどくさくてもIT屋は現場に触れ現場を知るべきなのです。今回のようなEXCELコマンド集の作成・システム構築によるグラフ化を達成できたとしても「なんか思ったのと違う」で終わるのです。これもさっき紹介した私の記事「外注に頼んでもシステムが使われずに終わる」のリンクを見てみてください。検索でカギカッコ部をコピーしてページアクセス→Ctrl+Fで検索してみてください。

上記の問題の解決はIT部門が現場に直に触れることのできる仕組みが必要になってきます。失礼千万でぶっちゃければ”IT部門が実際に現場の作業をしろ(してみろ)”です。ものづくりは現地現物。それを長らく怠れば製品の品質・改善の制度、何においても成果の出来が途端に悪くなります。IT部門もシステムだけを作っていればいいわけではないのです。

変更履歴

2022/10/9

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