長年叫ばれるJTC(伝統的日本企業)の構造改革。
しかし、その抜本解決は夢のまた夢と言わざるを得ない。
結論から言えば、経営層と現場の溝は非常に深い。
経営層は四半期決算や短期業績の追求に追われている。
一方で現場は形骸化した手続きに縛られており動きに限界が見える。
そのため、劇的な自主変革は望めないのが現状であり、現場の天井である。
今後残された道は二つしかないと考える。
致命的な環境変化による「強制退場」か。
あるいは現場起点での「細かな延長」か。
現実的な落としどころを鑑みれば選択肢はどちらかであろう。
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背景整理:制度の疲弊とリスク回避
JTCには過度なリスク回避の文化が根付いている。
事前の根回し文化も同様である。
これらは個人の資質によるものではない。
組織構造が生み出した負の遺産である。
セリグマンは「学習性無力感」を提唱した[1]。
社員は幾多の承認や減点主義に晒される。
その中で、自発的行動の無力さを学習してしまう。
結果として変革を諦め、指示待ちや保身に傾斜する。
さらにジャニスは「集団思考」を指摘した[2]。
同質性の高い組織では異論が排除される。
批判的検討を欠いたまま従来の手続きを踏む。
その行為自体が自己目的化していくのである。
[1] Seligman, M. E. P. (1972). Learned helplessness. Annual Review of Medicine, 23(1), 407-412.
https://doi.org/10.1146/annurev.me.23.020172.002203[2] Janis, I. L. (1972). Victims of Groupthink: A Psychological Study of Foreign-Policy Decisions and Fiascoes. Houghton Mifflin.https://web.mit.edu/curhan/www/docs/Articles/15341_Readings/Group_Dynamics/Janis_Groupthink.pdf
論点:経営の現実と現場の乖離
仮に経営者が抜本改革を望んでいたとする。
しかし、それを阻む構造が存在する。
ジェンセンらは「エージェンシー理論」を示した[3]。
株主から経営を委託された経営者。
彼らは短期的な利益評価や株価防衛に追われる。
市場からのプレッシャーからは逃れられない。
さらに対外的な改革アピールも不可欠となる。
そのため「PDCAの高速化」をスローガンに掲げる。
短期間での利益獲得を現場に強要するのである。
しかし現場に「魔法の杖」など存在しない。
「打ち出の小槌」ももちろん存在しない。
結果として、効果検証も不十分な施策に追われる。
業務改革もおろか利益すら出せない。
その果てに、理不尽な叱咤と対策提出を求められる。
現場は負のスパイラルに陥っているのである。
[3] Jensen, M. C., & Meckling, W. H. (1976). Theory of the firm: Managerial behavior, agency costs and ownership structure. Journal of Financial Economics, 3(4), 305-360.
https://doi.org/10.1016/0304-405X(76)90026-X
仮説・対応:変革の限界と今後のゆくえ
経営層の短期利益優先。
現場の形式主義。
この2点からくる断定とも言える仮説は次のとおりである。
それは劇的な解決を迎えることはない、ということである。
当のDX推進をしている兵隊として感じることは、この対をなす課題が噛み合う限り自浄作用は働かない。
抜本解決は不可能に近い。
JTCが抱えるジレンマ。
対応は腹をくくった決断である。
市場からの「強制退場」か、現場での「細かな延長」か。
静かな選択の刻が迫っていることを肌で感じている。



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