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【考察】仕事がデキるひとは怒りやすい傾向にあると思うのだが

この記事は約28分で読めます。

この記事では私が勝手に仕事が(Sigotoga)デキて(Dekite)怒りやすい(Okoriyasui)人(Hito)=SDOH(読み:えすでぃーおーえいち(すどぉ))とします。だってほら、あれですよあれ、専門的に見えるでしょう?

まとめ(私の考え)

SDOHの会社における怒りが出されるためのフローは明確である(組織内の出来事のため)。
そのフローを前提に、仕事がデキる人は以下の特性をもつ。

  • 驚異的な合理性をもつがゆえに非合理なものに対する事象に凄まじいほどに嫌悪する。
  • SDOHが非合理な事象に対面した時、本人を基準にした怒りにおける「怒りのエントロピー」は大である、つまり物事のあるべき姿(正解)から離れた事象に対する心の受け皿が小さいままである。
    ※「怒りのエントロピー」は情報理論の情報エントロピーをもとにしたカワッターが独断と偏見で定義した要素です。
  • 当の本人の受け皿が小さいままである要因は、本人が置かれていた過去の環境に要因があると考える。今に至るまでにどのような環境で過ごしてきたか、心理療法的な観点で探る必要がある。

今回はSDOHの代表格、仕事がデキる人だが異常に怒りやすいクラッシャー上司を皮切りに、そういった特性をもつ人を考察しました。先にことわりますが、男女の差はないと考えています。

今回はテーマがテーマなので色々引用元を調べました。特に前半は私の専門知識が不足しまくっていたため、参考文献の引用のオンパレードです。前半は参考文献(1)・(2)・(3)を、特に(2)を多用して、後半は参考文献(4)・(5)を引用しています。

記事の末尾に参考文献を色々つけています。書籍を購入せずにネットで閲覧できる範囲の内容を選びました(ただし書籍はプレビュー機能で閲覧できる範囲に限定)。より深く知りたい方は覗いてみてください。

背景:クラッシャー上司を経験した話

この記事をアップした時点で私はプログラマーですが、その前は生産技術員をしていました。生産技術時代、私は短い期間でしたがクラッシャー上司のシゴキをうけていた時期がありました。ただただ運が良かったのですが、クラッシャー上司は私の上司になって3か月で別の課に異動になりました。

クラッシャー上司は前職のほとんどの無能上司達と違い恐ろしく仕事ができる人でした。しかし一方でどこか人間性に欠けた人物でもありました。ちょっとしたミスでも恐ろしく怒りだすためです。

クラッシャー上司は好き嫌いが非常に激しく、一度でも部下に駄目判定をつけると、正論ではあるものの、ひたすらに厳しすぎる叱咤と嫌味を続けるような人格でした。それにより過去にクラッシャー上司の部下だった人はほとんどがメンタルをやられてしまい休みがち、または長期休暇になってしまいました。

実績として、私の上司になる前にクラッシャー上司は計8人をメンタル不調に追いやっていました。筋金入りのヤバいヤツでした。おっとぉなんでそんなやつを会社がほっとくんだという意見がありそうですがぁ、ここではその話は割愛させて頂きます!

クラッシャー上司との付き合いは3ヶ月でしたが、私も例外なく被害にあいました。もし6か月も一緒にいたら前職と同じように私のメンタルは確実に危機を迎えめでたく9人目のメンタル不調者になっていたと思います。当時の私はクラッシャー上司と関わるのも初めてであったため、とにかく考える間もなく追い込まれていました。たぶんTwitterの呟きにも表れていたと思います。

今回はようやく鉄工所の生産技術員の任を解かれたので、冷静に当時のクラッシャー上司について考えるようになるまでに至りました。

そこで、私の後学のためにもクラッシャー上司の人格=仕事がデキるが怒りやすい人にフォーカスをあててまとめることにしました。

怒りとは何なのか

分かっているようで分かっていなかったことなのですが、私は怒りについて何も理解をしてませんでした。そのためここでは参考文献を引用しまくって話を進めていきます。

参考文献(1)より、心理学における怒りの位置づけは次のようになります。

[前略]
怒りは,感情,行動,認知の 3 つの成分の組み合わせであり,攻撃性や敵意の中心概念として考えることができる。
[中略]
怒りは,一般的な感情の1つとして位置づけられ,進化的,生物学的,文化的に論じられてきたと言える。

中井 あづみ(2012),”怒りと怒りの近似概念の操作的定義の異同および怒りの操作的定義に影響を与えた要因”, 明治学院大学心理学紀要,22,13 - 30

怒りは「一般的な感情の1つ」ことがわかります。日本語は分かりますが私の読解力では意味を咀嚼そしゃくすることができません。

というわけで参考文献(1)を読み進めていくと今度は臨床心理学における怒りの位置づけを確認できます。

攻撃性,敵意,いらいらなどの近似概念との区別は,近年では,怒りは感情として,いらいらは行動として扱われつつあると言える。

中井 あづみ(2012),”怒りと怒りの近似概念の操作的定義の異同および怒りの操作的定義に影響を与えた要因”, 明治学院大学心理学紀要,22,13 - 30

臨床心理学の観点、しかも当時2012年の段階で「扱われつつある」という進行形の表現にはなりますが、さきほどよりも明瞭さは上がりました。ここでも怒りは感情であることをいっています。

さらに、参考文献(2)でも怒りを次のように定義しています。

怒りとは「自己もしくは社会への,不当なもしくは故意による(と認知される),物理的もしくは心理的な侵害に対する,自己防衛もしくは社会維持のために喚起された,心身の準備状態」です。

湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, 第1部 怒りのメカニズム, p8

大事なことなので3回引用しました的なノリなのですが、このことが論を進めるうえで大事な前提となります。

以上の内容を合体させて、上記の一般化した表現を会社に置き換えて言い直すようにしてみます。
次の2点でとなりそうです。

  • 怒りは感情である(これはそのまま)
  • 怒りは人の目に見える形で現れる前に、当人の外から入っている害(業務における理不尽・苦手とする人・批判対象となる業務の遅延)と認識したものに対して、自分または組織を守るための、怒りのための動機となる。

怒りは人の外から何かしらが入力され、入力は人の中で何かしらのメカニズムを介し怒りと言う感情に変換され、そして出力として感情と言動にでてくることになります。

つまり怒りは突拍子もなく出る訳でなく、業務中において何かしらの事象がトリガーとなって必ず理由がともなって発生するということになります。

以上の内容から、怒りに対する位置づけとその根拠づけができたことは私にとって大きな一歩でした。

人の怒りが面に出るまでのフロー(流れ図)

怒りは一言でいっても色々な怒りがありますので、まずはSDOHにおける怒りについて絞り込みを行うことにしました。前章の内容を前提としてすすめます(怒りは必ず理由がある、ということ)。

参考資料(2)を参照すると、感情としての怒りの出現(図では”怒りの表出”と表現)は次のフローをたどります。

湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5より引用

この図によれば、右上の怒りの表出(フローのゴール)から逆にたどっていくと、怒りの表出の前には次の2点のどちらかを通ります。

  1. 怒りの喚起
    次の2つにより発生(どちらも必要)
    ・被害認知:心理的または身体的な被害
    ・責任認知:被害の責任が特定の他者にある、という認識
  2. 自己効力・結果予期・反応評価
    怒りの表出または怒りの抑制を決定する自己の判断

また、用語の説明は次の通りです(またも引用です)。

怒りの喚起には、衝動的なプロセスと判断的なプロセスが,同時進行的にかかわっていると考えるのが適切なようです(図2-1)。

[中略]

つまり,自己効力は,ある状況下において行動を実行する段階までの予測のことであり,結果予期は行動後の予測と言えます。

[中略]

反応評価とは,特定の反応に対する「良い」「悪い」といった評価軸のことです。

湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, 第1部 怒りのメカニズム, p27-28

より細かい説明(図2-1の参照など)はぜひとも参考文献のリンクをクリックしてみてください。とっても勉強になりますよ(少なくとも私はなりました)!

最後に、フローの出発点である"個人差要因"にたどり着きます。"個人差要因"には主な要因としてパラノイド認知と自己愛傾向などがあります。明記されている2つについては次の通りです。

  • パラノイド認知:対人場面において他者の敵意が自分に向けられやすいと感じる認知スタイル
    参考文献(3)
  • 自己愛:文字通り、自分を大切にできる能力

上記の内容をもとに、SDOHがなぜ怒りやすいか、考察していきます。だんだんと私の考察が入ります。

仕事がデキて怒りやすい人(SDOH)はどういった怒りのフローを辿るのか

そもそもなのですが、SDOH関係なしに、会社の上司はどんな時に部下に対して怒るものなのでしょうか。事象を考えてみました。
結論から言うと、怒りのフローの観点におけるSDOHの特徴的な内容は洗い出せませんでした。普遍的な感情の観点のくくりでは、SDOHとそうでない人の明確な差異が見つけられなかったためです。

怒りの事象を明確化するため、まずは極端な例で考えてみます。

  • 仕事で度を超えて何度も何度も同じミスをする
  • 本当にやってはいけないといったことをやってしまう
  • 何度も言い訳をする
  • 報連相以前に質疑応答などの会話が成立しない程度に、言ったことを理解しない
  • 言ったことを守らない
  • 絶望的に計画性がない

やりすぎた感がありますが、私も一時期はPLをやっていた身として、私もたぶん怒るんだろうなと。上記については下記のように言いかえられると考えます。

  • 部下が行ったことに対して何かしらの怒る理由がある
    上記の事象の最後に「~から怒る」とすると、そのまま理由になりえる(前章の内容の再確認)
  • 怒りの抑制はしている
    経験則だが、初っ端からやらかした部下に対してブチ切れることは稀である
  • 怒りの抑制ができなくなると、以後は条件反射的に怒りだす
    またかよ!いい加減にしろよ!とか分かりやすい言葉で感情をあらわにしやすい

上記をまとめると、SDOHは参考文献(2)の図2-5のフローをフェーズごとに段階的に切り替えていると考えられます。

フェーズプロセスの流れ説明
1個人差要因

自己効力・結果予期・反応評価

怒りの抑制
部下のやらかしに対し、合理的に怒りを抑えている状態
2個人差要因

自己効力・結果予期・反応評価

怒りの抑制

被害認知・責任認知

怒りの喚起

怒りの表出
部下のやらかしにいったん怒りをおさえるが、総合的に判断した結果、結局怒りをおさえられなくなる状態
(被害認知・責任認知の段階で「やっぱり悪いのはこいつ」という認識となる)
3個人差要因

自己効力・結果予期・反応評価

怒りの表出
部下のやらかしに対し許容できなくなり、最初から怒りの抑制がきかなくなっている状態
湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5を一部引用し作成

上記表を図2-5に加筆して再掲します。

湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5を引用し加筆

ここで補足です。SDOHはフェーズ1~3の段階すべてで個人差要因→被害認知・責任認知→怒りの喚起→怒りの表出のフローをたどりません。SDOHは直情的でないためです。

SDOHは一見すると「叱られるのは俺なんだぞ!」「また俺に尻拭いさせるのか!」と言いつつも、さらに部下を精神的に追い詰めるくらい厳しすぎる叱咤や嫌味を繰り返しますが、必ず(自分なりの合理的な)理由の名のもとに厳しすぎる叱咤や嫌味を成立させてると考えます。理由の詳細は次の章で考察しています。

私の経験では、SDOHは部下(私)に対し「やるべきことを怠ったから」という理由のもとボコボコにしました(理由の詳細は次の章でこうさt(2度目))。

また、上記のフェーズ1~3はSDOHやそうでない人に関わらず、誰でもありえる内容のはずです。よくよく考えてみれば、SDOHとかそうでない人とかいったところで同じ人間なのですからそりゃそうだと。つまり、SDOHとそうでない人は怒りの表出については本質的(原理的)には何も変わらないということになります。参考文献(2)の図2-5は人の怒りの表出を一般化したものであるから、そりゃそうだろと(2回目)。

色々考察をかけてみましたが、なんだか定義(必要条件)に対して十分条件みたいな内容を考察したような流れになりました。人としての共通事項としての怒りについてはSDOHの特徴的な内容は洗い出せなさそうです。

しかしながら、それでもSDOHとそうでない人の区別はあるはずです。じゃないとSDOHは世間でクラッシャー上司とかは言われることはありません。

今度はSDOHの特徴を洗い出し、そのうえでフローの各フェーズと絡めて考察しました。

SDOHがSDOHたらしめるものは何か

この章の結論から述べると、SDOHは合理性でない事象やふるまいに対する恐ろしいほどの耐性の低いことが分かります。それではレッツ考察。

SDOHがSDOH足らしめる特徴を私のクラッシャー上司の経験をもとに考えてみました。

  • 状況の判断能力に優れている
  • 自身の仕事ができる能力は恐ろしく高い
  • 人との交渉事において、論理的に極力矛盾のない根拠を準備しつつ、押しが強い
  • 情報の重要さを理解している
  • 情報の取得に非常に熱心である

SDOHは仕事の進め方に特化した能力を持っています。SDOHは他者が仕事を進めるうえで最も重要であることを理解しているからです。ここでいう他者は会社では他部署の人との利害関係(横文字で言えばステークホルダー)のことを指します。

SDOHは仕事ができることが際立っているため、高度な業務および専門知識を持っていることに目がいきがちですが、あくまでも要素の一つです。怒りの観点においては最も重要であるとは言い難いです。

SDOHは何より合理性を重んじます。合理性を確保するために、SDOHは常に周りの情報を取得するための強いアンテナを張っています。

一方で、SDOHにとって仕事の進め方を間違えることは何より避けたいものとなります。SDOHにとって合理性に欠ける行為だからです。

言い換えれば、SDOHは仕事の進め方を間違えることが何より許せないものになります。自分はもとより、部下に対しても同様です。

怒りの観点においては、SDOHが部下を持った場合に逆鱗に触れやすい具体的な事象として次の4点が挙がると考えます。

  • 部下が業務の計画をたてない
    何も考えない部下は「やることを決めない=大抵やってることが的外れ(無駄)・時間をかけすぎる」と解釈され、効率から最も遠いものに見られるため、怒りの対象となる
  • 部下が上司であるSDOHに計画に関する相談を事前にしない
    「自分の考える業務をクローズさせる最短で効率の良い方法」を盛り込めないため、怒りの対象となる(上司の承認なしに勝手に業務を進めると解釈される)
  • 部下が事前に業務を進めるうえで関係者へ必要な根回しをしない
    他部門と調整をしないと後でいちゃもんをつけられ業務がとまる、最悪SDOH側の計画が水の泡になるリスクが高くなるため、非効率となる=合理性を欠くため怒りの対象となる
  • 部下が上司であるSDOHが考える納期感についてこれない
    残り1日であろうが1時間であろうが15分であろうが、業務の着地点に対して求められるアウトプットを決め、決めた限りはやれ、というスタンス(大抵無茶であるが、SDOHから業務を着地させるために考えた合理的な考えのため、部下がどのような顔をしても強行する)
  • 部下の報連相が遅い
    SDOHは常に状況を把握するためのアンテナを張っている。そのアンテナの影響は部下にもおよびます。実際、部下は相当な頻度と細かさをもとめた報告を行う必要があります。そのため、部下が報連相を少しでも怠ったり、SDOHが望む粒度の大きな内容で伝えなかったり、情報を元にした考察(次、どうするか)を言わなかったりすると、SDOHからみた合理性に欠けた行動となるため、怒りの対象となる

色々挙げましたが、SDOHは合理的でないものに対する嫌悪感は凄まじいものであることが伝わるかと思います。

逆の見方をすれば、SDOHは合理的でないものの耐性が非常に低いということになりそうです。ひとつ、発見です。

ここでやっと参考文献(2)の図2-5のフローに話が戻るのですが、上記の内容(SDOHの合理性に関する内容)を反映した上で、もう一度フローの各フェーズでSDOHが考えるであろう頭の中を考察してみました。

湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5を一部引用し作成
湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5を一部引用し作成
湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, p25, 図2-5を一部引用し作成

上記の例は極端でしょうが、ある程度の確度はもっていると思います。私の経験でもありますし。N=1ですけど!

そんなわけで、SDOHは合理的であるかないかの視点で見た時、だいぶSDOHの怒りが見えるようになってきたのではないでしょうか。

しかしながら、怒りについて定量化がまだできていません。ここまできたらせめて一般化ぐらいまではいきたいものです。

そこで次はSDOHの怒りのモデル化を試みました。

SDOHの怒りをモデル化(数値化)①発想のもと:情報理論

ここから、参考文献の引用で部分的なものは" "で表記しています

考え方は通信理論(情報理論)の”情報量”と"情報エントロピー"を使います。本記事の趣旨から外れるため、細かい内容はすっ飛ばします。興味がある方は参考文献(4)・(5)を参照してみてください。参考文献(4)は、そもそも情報とはといったところから、周波数帯域の重要な定理(FM方式やPCM方式の性質)といったことまで細かさを維持しつつ、たった5ページで説明しています。参考文献(5)は要点をつかみながら丁寧に説明頂いています。例が非常に分かりやすいです(感謝)。

参考文献(4)より、"情報量"の定義は次の通りです。

\(\displaystyle I= -log_2 p [bit]\)

\(\displaystyle I\)は"情報量"、単位はbit(ビット)です。PCやスマホでは使われる言葉ですね(最近はByte(バイト)で終わるかなぁ?)。\(\displaystyle p\)は対象とする事象が発生する確率です。

要点としては次の通りです。

  • "情報量"は対象とする事象が発生する確率が小さいほど大きい
    理由は珍しいことほど\(\displaystyle I\)は多い、とするため
  • "情報量"は対数で表される
    確率\(\displaystyle p\)はレアであるほど増えるが、その増え方はだんだんとなだらかになっていく
    理由は"我々の常識とある程度一致"しているため
  • "情報量"の対数は底が2である
    理由は2者択一の可能性のもの(Yes・Noといったもの)を情報の単位量としているため
    →Yes・Noは1/2の確率、その場合の式の結果を1とするため

上記の内容をまとめた例も参考文献(4)に記載されています。珍しいニュースを例にしているため、実感しやすいと思います。

現在ジャーナリズムは"情報"と関連のある社会的存在であるが、ジャーナリズムはニュースバリューを重んじる。このニュースバリューは一種の情報の評価値である。このジャーナリズムの社会では"猫がねずみをかんだのはニュースにはならないが,ねずみが猫をかんだのは立派なニュースだ"といわれている。これはその付随する確率が小さい(珍しい情報)程、その量が大なることを表現している。

喜安 善市(1952), 通信理論, 電氣學會雜誌, 72 巻 763 号, p.240

また、上記の事象が発生する確率\(\displaystyle p\)の"情報量"を平均した量も定義されています。"情報エントロピー"といいます。

"情報エントロピー"という言葉は不可逆性や不規則性を含む、特殊な状態を表すときに用いられる概念のことをいいます。直訳すると「情報のよくわからない状態」となりますが、ハイ全く分かりません。なので式を見てましょう。

\(\displaystyle H=-\sum_{1\le i\le n} p_i log_2 p_i\)

この式は、ある事象が発生する確率\(\displaystyle p\)の"情報量"に対して、さらに自身の確率を乗じて情報を重みづけをしています。
さらに、事象が発生する確率\(\displaystyle p\)が複数あることを想定して、重みづけした(かけ算ですので、値を伸ばしたとでもいいましょうか)"情報量"を足し合わせるということをしています(\(\displaystyle \sum\)で表現)。

☆☆”情報量”の細かい説明(参考文献(4))☆☆

↓↓上記の\(\displaystyle I= log_2 p [bit]\) の詳細説明↓↓

この式は確率の概念をつかっていますが、前段があります。といってもやっていることは逆数を取っているだけです。ただ、考え方を理解すると、なぜ確率なのか納得してつかうことができます。

前段の式は次の通りです。

\(\displaystyle I= log_2 n [bit]\)

\(\displaystyle n\)は同等な可能性・・・・・・をもつものの個数になります。単位は上記の要点で示したbit(ビット)です。

わざとらしくルビをふったのですが、それでもイメージがつきにくいと思いますので、参考文献(4)からこの表現を拝借します。
本当に分かりやすいのと思っていますので、めちゃくちゃ引用してしまいました。長いですが、頭へスッとはいってくると思っています!ほーら入ってくるぅ!

これは最も簡単な情報を考え,之を情報の単位とし,他の複雑な情報はこの単位によつて表現しようとするのである。最も簡単な情報はいわゆる”二者択一”の場合に一方を定めることである。かのシンガボール攻略戦において,山下奉文元大将が敵将パーセバルに対してYesかNoかで返答を求めた場合がこれである。この場合YesもNoも同等に期待し得るわけである。

[中略]

数学的に考えると,全く同等な二つの可能性(上の例ではYesとNo)の内の一方を指定する情報を単位量の情報と定義する。この単位をビット(bit)という。一般的には,情報は同等な可能性が(有限な)多数箇考えられる場合,この可能性の一つを指定することである。この場合の情報が,同等な二つの可能性の中の一つを指定する場合の情報よりも大であることが期待される。情報の量としては,同等な可能性の箇数が多い程多いわけである。

[中略]

上に述べた情報の量の定義は暗默の内に確率の概念を含んでいるのである。最も一般的な定義は確率によつて定義される。即ち或情報の量はその情報の附随する確率pの逆数の2を底とする対数である。

喜安 善市(1952), 通信理論, 電氣學會雜誌, 72 巻 763 号, p.239

引用の最後の部分で”情報の量は確率pの逆数の2を低とする対数”と表現しています。よって先ほどの\(\displaystyle n\)で表された式は次のように書き直せます。

\(\displaystyle I= -log_2 p [bit]\)

\(\displaystyle I= log_2 n = log_2 \frac{1}{p} = -log_2 p [bit]\)

\(\displaystyle I\)は”情報量”、pは対象とする事象が発生する確率です。

SDOHの怒りをモデル化(数値化)②情報理論をSDOHの怒りにつなげる

それでは情報理論の内容である"情報量"と"情報エントロピー"をもとに、無理やりSDOHに紐づけていきましょう。私の独断と偏見で式を作っています。そのため、等式は波線マーク「~」を使っています(イコールか分かりましぇんが書いてみました!という意味です)。イコール「=」ではないことにご注意を。

情報理論の情報量・情報エントロピーを怒り用に変換

まず、"情報量"を怒りの情報量と定義します。式は次の通りです。

\(\displaystyle I ~ -log_2 p [bit]\)

式の形・単位は情報理論の内容と同じですが、各文字の解釈を怒りの内容におきかえています。

  • 怒りの情報量\(\displaystyle I\)
    怒り値(Ikari Value)と命名(※製造業は日本語ローマ字を頭文字にとる約束やでな!元はInfomationのIだった気がします)
  • 確率\(\displaystyle p\)
    • 部下が業務のミスをするであろう確率
    • やらかした級の大きなミスなら確率は小(怒りの情報量は大)
      誤字脱字などの小さなミスなら確率は大(怒りの情報量は小)

\(\displaystyle I,p\)は意味的にもそのまま入ってくると思います。

次に、"情報エントロピー"の考えをもとに怒りのエントロピーとして定義します。最終的にこの値がSDOHの状態を決定するKPIとなります。式の解釈は大幅に変えています。

\(\displaystyle H ~ -\sum_{1\le i\le n} Psdoh_i * log_2 p_i\)
\(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\) 注:\(\displaystyle 0 < Psdoh_i \)

\(\displaystyle k\)は定数、上司素質によりきまる(相対的だが、SDOHは一般の人より大)
\(\displaystyle i\)は自然数、部下がミスをしてしまった回数(大小問わない)

\(\displaystyle Psdoh_i \)は私が独断と偏見で定義した項です。情報理論の式では\(\displaystyle p_i\)(小文字だYO!)は確率のため\(\displaystyle 0 < p_i <1\)ですが、\(\displaystyle Psdoh_i\)は\(\displaystyle 0 < Psdoh_i\)です。
0より大のため、確率ではありません。なぜこんな定義をしたかというと、次の通りです。

  • SDOHの主観的なバイアス(参考文献(3))を表現するため
    (部下がミスをすればするほどSDOHの怒り値の増し方はうなぎのぼりに増えていくため)
  • 前章「仕事がデキて怒りやすい人(SDOH)はどういった怒りのフローを辿るのか」で示したSDOHの怒りのフローのフェーズ1~3に対応するため

\(\displaystyle Psdoh_i ~ P_i * e^{i-1}\)は、部下がミスをするであろう確率\(\displaystyle p_i \)に対して自然数\(\displaystyle e\)のべき乗をかけています。べき数を\(\displaystyle i-1\)としたのは、部下が1回目のミスをした場合に情報理論の情報エントロピーの量と同等とするためです。さすがに1回目でSDOHの認知的なバイアス(参考文献(3))がかかることはないだろう、という希望的観測だったりします。

着目するところは、次の2点です。

  • 怒りのエントロピーは部下がミスをすればするほど際限なく指数関数的に増えていく
    (前述した、うなぎのぼりに増えていく、ということ)
    情報理論の"情報エントロピー"\(\displaystyle H~-\sum_{1\le i\le n} p_i log_2 p_i\)であれば対数\(log\)の項のみのため\(\displaystyle p_i\)がレアな確率になったとしても値の増え方はゆるやか~~になっていきますが、怒りのエントロピーは\(\displaystyle H~-\sum_{1\le i\le n} Psdoh_i * log_2 p_i\)であり、\(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\)にて\(\displaystyle ke^{i-1}\)のべき乗があるため、ガンガン増えていきます
  • SDOHにおいて、怒りのエントロピーの増え方は本人の固有値\(\displaystyle k\)が大きく左右する
    \(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\)の\(\displaystyle k\)に着目、この値は上司の数だけ値があります
    私はこの定数\(\displaystyle k\)こそが、昨今でうたわれている上司ガチャを決定する値であり、SDOH自身の改善による着目点と考えます

以上、SDOHの怒りを一般化してみました。その道の方からみれば矛盾やら疑問点が沢山あると思いますが、ご容赦ください。

あと、まだまだ次のような懸念点があります。機会があれば考察していきたいです(ハナホジ)。

  • 怒りのエントロピーがどの値になったら前章で述べた怒りのフェーズの遷移が発生するのか未定義である
    (前章「仕事がデキて怒りやすい人(SDOH)はどういった怒りのフローを辿るのか」の内容)
  • \(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\)の\(\displaystyle k\)はどのようにして決定されるのか求められない
  • 怒りのエントロピーは本当に増え続けるのみか
    一定の値まで達したら飽和(saturation)しないのか
  • 怒りのエントロピーは時間がすすむにつれ減っていかないのか
    今回の私の独断と偏見により定義した式では時間の変化分を盛り込んでいない
    (確かに人間、色々な事は時間が経てば忘れるので、怒りのエントロピーも減衰していくと考えることはできる)

SDOH対策として部下ができることはあるのか

色々のべてしまいましたが、結局、部下ができるSDOHの対策はあるのでしょうか。

非常に残念なことに、部下としてできることは何もない、という絶望的な事が分かるかと思います。

なぜなら、部下がコントロールできる部分は\(\displaystyle H~-\sum_{1\le i\le n} Psdoh_i * log_2 p_i\)の\(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\)中の値\(\displaystyle i\)だけであるからです。

さて、\(\displaystyle i\)ってなんだったっけか?基本私の記事は長文サーセンですので頭に入らなくてサーセン2乗でございます。
はい、\(\displaystyle i\)は部下がミスをしてしまった回数(大小問わない)でした。

つまりSDOHの部下になったら、ミスしなければいいんですよ。そうすればなんか今まで私がグダグダチンタラ話した怒りの情報量だの怒りのエントロピーだの考えなくてすむんだから。

なーんだ簡単な事じゃないですかHAHHAHHA!!!

hahhahha....。

人はミスをします。何回も。
SDOHに対してどうでしょう。1回だけなら許されるでしょう。同じミス(事象だけでなく同じような種別も含めて)が2回目は?たぶん、SDOHはイラッとしだすでしょう。あ・・・3回目、やってしまいましたね。SDOH、声を荒げ始めました。おそらく、あなたの四肢はマヒ、頭はフリーズし始めるはずです。はいオワタ\(^o^)/。あなたは沼にはまってしまいました。SDOHの沼に。あなたは必死にがんばりますが、なぜでしょう、値\(\displaystyle i\)は増え続けてしまいます。SDOHは職場に響き渡るくらいの声の大きさであなたを叱咤します。はいオワタの2乗\(^o^)/\(^o^)/。許容される\(\displaystyle i\)は小さいのに、それを受け止める大きな愛はどこにもありません。

ではSDOHは絶望の存在でおわってしまうのか?本当になにもできないのか?
いえいえ逆に考えてみましょう。
部下がコントロールできるパラメータは値\(\displaystyle i\)のみである、ということは、それ以外はSDOH自身がコントロールできるパラメータである、という事です。どこだ?どこがコントロールできるのか?あった!\(\displaystyle Psdoh_i ~ p_i * ke^{i-1}\)だ!値\(\displaystyle k\)だ!!許容値が小さい\(\displaystyle i\)よりも現実的だ!これだぁああ!

SDOHとなる真因はSDOHの過去の子ども時代の環境にあるかもしれない

これだぁああ!と鼻息荒くして豪語しましたが...この値\(\displaystyle k\)はどうやってコントロールするのでしょうか。
結論をいえば、SDOHに心理療法的な観点でアプローチをしていくことだと考えます。ねらいはSDOHが自分の過去を振り返りことで自身を認識し、どうやってSDOHの考えを構築していったのかを自覚することです。

SDOHは生まれながらにしてSDOHになったわけではありません。生まれたての赤ちゃんがいきなり合理性に特化していることはあり得ません(あったら怖い)。・・・とすれば、SDOHは自身の人生でSDOHになる過程を踏んだと考える方が妥当です。

章「SDOHがSDOHたらしめるものは何か」で示したSDOHの特性たる考え方を身に着けるために、次のような要素を明確にする必要があると考えます。

  • SDOHの特性を身に着けようと決断した動機はなんだったのか
    (なぜ怒りに繋がったのか)
  • 動機が発生した瞬間、SDOHに何があったのか
    (事象とSDOHの怒りの感情を結びつける)
  • SDOHが過ごした周りの環境はどのようなものだったのか
    (SDOHたるに至った環境の因子はなにか)
  • SDOHは何に対して喜び、何に対して不満をもったのか
    (SDOHたるに至った素質的な因子はなにか)

上記の項目を丁寧に一つずつ洗い出し、自身のメタ認知(引用:参考文献(3))によって心理面の自浄を試みます。私の考えでは、人格を形成する子ども時代(乳幼児期~思春期)にフォーカスされると考えます。

上記のアウトプットは認識の刷新です。次のような例です。

刷新前:「私は私自身がやっていることを分かっているつもりだし、間違ったことはしていない、正しいことを言っているのだから付いてこれないやつが悪い、だからとやかく言われる筋合いはない」
刷新後:「正しいことを言っていればよかったわけではなかったのか、今まで分からなかったが、確かにそう思えるようになってきた、行動を改めるか」

上記は口で言うのは簡単な事ですが、実際やるととてもコストがかかることだと思います。また、上記の方法はあまりにもパーソナルな部分に踏み込み過ぎているため、人権侵害だとか言われることはいうまでもありません・・・。
しかし、私がSDOH(クラッシャー上司)からヤられた経験を元に考えると、上記の内容を強行してでも実施するべきなのではと思います。そうやってようやく値\(\displaystyle k\)を減少させるためのスタートラインに立った、と考えます。スタートラインにたったとしても、SDOHは抜群の能力により「表現上は非のうちようがない正しいこと」をいえるためです。無理やりにでも心理面に突っ込むぐらいでちょうどよいのでは、と思えてなりません。

しかしながら、私カワッターは心理面においてはズブのシロート、専門知識を有した心理カウンセラーではありません。

最後に、この章の内容も私の妄想の域をでない独断と偏見であることをご承知おきください。

参考文献

  1. 中井 あづみ(2012),怒りと怒りの近似概念の操作的定義の異同および怒りの操作的定義に影響を与えた要因, 明治学院大学心理学紀要,22,13 - 30
    https://hdl.handle.net/10723/1267
  2. 湯川進太郎(2008), 怒りの心理学: 怒りとうまくつきあうための理論と方法, 有斐閣
    https://books.google.co.jp/books?id=jAz4ZE6NUV0C&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false
  3. 心理学用語の学習(2016)
    https://psychologist.x0.com/terms/132.html
  4. 喜安 善市(1952), 通信理論, 電氣學會雜誌, 72 巻 763 号, p.238-242
    https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.72.238
  5. 馬場真哉(2017), 情報理論の基礎~情報量の定義から相対エントロピー、相互情報量まで~, Logics of Blue 
    https://logics-of-blue.com/information-theory-basic/

変更履歴

2022/12/52023/1/3

記事UP

冒頭部「まとめ(私の考え)」にて表記を変更
変更前:エントロピー
変更後:怒りのエントロピー、あわせて情報理論の情報エントロピーをもとにしたカワッターが独断と偏見で定義した旨も追記

コメント スパム対応をしたつもり、コメントは残す方向で頑張ってます

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