マイホームに住み始めてわが家の通信回線はフレッツ光&ひかりTVで契約しました。
色々サービスがあったり、マニアックなチャンネルもあったりで、こりゃ面白いと思っていたのですが、しばらくして突然ひかりTVがブツブツ(酷いときは数分間)切れてしまう事象が発生しました。
対策した結果は既にネットにある内容(BUFFALO製のBS-GS2008を使用)と重複してしまいましたが、次の理由で記事にすることにしました。
- こういった類の話のn数は多い方が良いと思ったから
- 恒久対策に移る前の暫定処置を記録に残すことで、少しでも酷い状況が改善できればと思ったから
- 私の後学のため
IPv4の知識しかなかったので、私なりにまとめたかったです。色々と情報を公開頂いた方々(多謝)や、NTTの技術参考資料を確認しました。
参考文献に載せています。2023/4/16現在...工事中
まとめ
ひかりTVの関連技術メモ
関連する内容をまとめました。
①ネットワーク構成
「ひかりTV重要事項説明」を参照すると次のように、チューナーとルーターの機器を合計2台利用できると記載がありました。私は2022年6月より前で契約しているので、こちらの文言になります。
「光回線1回線につき、ひかりTVチューナーもしくはチューナー機能対応テレビ・PC2台まで、およびサービスプラン2契約まで利用いただけます。」
「ひかりTV重要事項説明」, 株式会社NTTドコモ ※2022年6月30日以前に契約をした方
また、YAHOO!知恵袋にひかりTVとPCを同時接続できる旨の記載があります。もとを取るためにBiz光のページでONUからスイッチングハブを使い親側で線を分岐するネットワーク構成の例も確認できます。
②通信プロトコル(抜粋)
ひかりTVはIPv6です。IPv6のアドレスはスコープがグローバルであれば、割り当てられた機器は、IPv4でいうグローバルアドレス扱いとなります。INTERNET Watch様やネットワークエンジニアとして様を参照しました。
NTT東日本のフレッツ光の仕様書(pdf直リンク)を読み進めると、実際の通信は次の内容であることを確認できます。
前提として、わが家はフレッツ光ネクストIPv6(IPoE)&IPv4 over IPv6です。
- MLDのバージョンはMLDv2:「2.4.2.1.6 MLDv2」より
- 最大転送単位(MTU)は1500:「2.4.2.1.5 最大転送単位(MTU)」より
ルータのMTU設定が気になったので参照しました - その他、IPv4のPPPoEの標準セッション数は 2 / 5 :「表 3-9 同時利用可能 PPPoE セッション数」より
前提に記載の通り、わが家の機器は全部IPv6(IPoE)対応じゃない, IPv4だけ対応の機器もあるため確認しました
念のためです - 上記以外のプロトコル詳細:「2.1 プロトコル構成 表 2-1 プロトコル構成」を参照
その後で該当する各節を参照で
わが家への反映内容
上記の技術メモを踏まえてわが家の構成は次の順番で実施しました。
暫定対策
現状できることから実践するため、暫定対策として次の通りにしました。
比較(再掲) ○クリックで拡大○
やったことはルータにチューナとその他機器を一括で接続したネットワーク構成
↓
ルータをスイッチングハブ化してチューナとその他の機器を別の無線LANで分ける構成としました。
ルータはBUFFALO製のWSR-2533DHPLB Version 1.10(ファームウェア)です。
気を付けたことは次の内容です。
- ONU→スイッチングハブ→チューナのケーブルはCAT5e(1Gbps)を使用
ひかりTVは常時TVのデータがバンバンやってくるため(画質4K/60pで最大30Mbps)、配線の速度確保もちゃんとやりました
家にあるLANケーブルなら何でもOKというわけではないのでご注意
特に、よくわからないけどまぁ余ったフラットケーブルをさせばOK!とかはダメです
要チェックです - ルータはブリッジモードとしてスイッチングハブ化
- スイッチングハブ(今回の場合はルータ)は該当ポートが1Gbpsであるものを使用
私の場合は、ルータのLANポートがたまたま全ポート1Gbpsでしたので使いました - 代打で使用する無線LANはスヌーピング機能があるものを使用
これもたまたまですが、手持ちの余りルータがスヌーピング機能を持っていました
BUFFALOのエアステーション設定ガイドの”マルチキャストAging Time”という項目の説明で、MLDのスヌーピング機能があることを示唆する内容を確認しました
ただし記載はMLDの文言のみ、対応バージョンは不明です
実際はパケットを監視するまでは実施していませんので、お祈りスヌーピングとなります
上記を実施した結果、改善前と比べて瞬断の頻度は格段に少なくなりました。
暫定対策としては上々です。
しかし、完全になくなったとまではいきませんでした。
また、ネットワークを分断したルータの無線が時々止まってしまう不具合も発生しました。
原因を調べるためにやったこととは次の通りです(結果あるものは記載)。
- スイッチングハブの調査
動作確認済みネットワーク機器一覧 (2022/7/1現在)で私が使用しているルータの型式を確認できなかったため、相性の問題かなぁという無難な結論になりました。- ケーブルの不具合確認:他のCAT5eのケーブルを試してみましたが、瞬断発生、効果なし
- スイッチングハブ化したルータの設定確認:それらしい項目もなし(ブリッジ機能だものね...)
- ネットワークを分断したルータ
やったことはググっただけです。
こちらはひかりTVのデータがスイッチングハブからマルチキャストで無線LANにバンバン送られるため、無線LANがパケットを捨てる処理を繰り返すことにより過負荷になってしまうことが原因のようでした。
事象としては、PCの電波の強さが不定期にレベルが下がり、最後は接続不可になっていきました。
ついでに無線LANの配下の機器が通信の不具合になることはなかったため、お祈りスヌーピングは有効だったのじゃないかと。たぶん。
恒久対策
暫定対策で上手くいかなかった内容をふまえ、スイッチングハブ化したルータをBUFFALO製のBS-GS2008と入れ替え&MLDスヌーピングとMLDクエリアの設定を有効にしました。
○クリックで拡大○
BS-GS2008は法人向けの製品なので、個人レベルでみると値段は安くはありません(約2万円!)。
ただ、MLDスヌーピング機能をもつハブで調べると、BS-GS2008以外に個人が手を出せる価格帯の製品は見受けられません。普通に2桁万円とかいってますゆえ。その中で比較的廉価であるものはBS-GS2008ということになりました。
今回の事象を解決するにあたって、設定は次の通りにしました。のろく様のページと雪夜猫様のページを参照しました。
- MLDスヌーピング(MLD Snooping):有効
- MLDクエリア:有効
- 他の設定:デフォルト
MLDスヌーピングを適用しただけです。
このBS-GS2008、機能はむちゃんこありますが、ひかりTVの瞬断においては上記の項目のみの設定となります。
BS-GS2008は他にも一般家庭向けとは異なり、VPNをはじめとしたきめ細やかな設定ができます。
初めは約2万円高い!とか思っていたのですが、きめ細かな設定ができると確認した上では、安い、と感じます。本気をだせば家のネットワークが会社みたいになると思います。
その他:BUFFALOサポートやりとり
ひかりTVの瞬断の話は以上となります。ここではその他の話になります。
今回の解決内容に至るまでに、私は一度BUFFALOのお客様サポートとやり取りをしました。
結果、BUFFALOのお客様サポートとしての回答は次のネットワーク構成でした。
やりとり中で作ったため構成図であり内容が途中であること、やり取りの内容を都度反映させてザッと手書きしたことから、体裁は全く整っていません。
【ネットワーク構成】
ONU→NTT製ルータ
[分岐1] → チューナー
[分岐2] → ルータ(手持ちの古いルータを使用)
ちなみにですが、本記事のBS-GS2008を用いたネットワーク構成はBUFFALOのサポートを受けられません。BS-GS2008は法人用のスマートスイッチ、一方で他のネットワーク機器は一般向けの組み合わせになるからです。動作保証外、という回答がきますのでご注意を。
頂いた提案に対しては次の内容で考察しました。
- NTTのルータを使用することにより、プロバイダ→ONU→ルータ→チューナまでNTT製とすることでひかりTVの問題の所掌をBUFFALOから切り離す
- NTTのルータを親として、無線で既存のわが家のルータをアクセスポイントとし、なるべく現状のネットワーク構成を変えずに問題を解決させる。
上記は意地悪な見た方をすれば、BUFFALOは自社製品のひかりTV対応設定(NDプロキシ)が効果がない、どうにもならないことを示唆することを私に思わせることになり、私の判断次第で製品品質を疑われる&自社評価が下がるリスクになります。結果だけで判断すれば、ですが。
ただ、私としては自社製品の限界を認識して他社製品をつかった・所掌的にも適切な形に持っていったお客様サポートの判断が自社利益よりも顧客利益を優先したと見受けられたこと、私の長い時間かけて聞いた細かい質問にも相当に丁寧かつ真摯にご対応頂いたことから、評価は下げることはありません。
謝辞
本記事を作成するにあたり、ネットに情報を公開頂いた個人の方々ならびにBUFFALOお客様サポートに感謝申し上げます。
参考文献
- 「ひかりTV重要事項説明」, 株式会社NTTドコモ
https://www.hikaritv.net/juyou/
※2022年6月30日以前に契約をした方 - 「ひかりTV重要事項説明」, 株式会社NTTドコモ
https://www.hikaritv.net/juyou_shin/
※2022年7月1日以降に契約をした方 - 【ひかりTVとPCで同時にネット共有】ルーターが必要なのか, YAHOO!JAPAN 知恵袋
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1127887991 - TV視聴時にパソコンから無線LAN経由でインターネットに接続できません。, Biz 光, NTT Communications
https://www.isdn-info.co.jp/ocn/hikari_tv/faq_a101.html - IPv6 - unicast address, ネットワークエンジニアとして
https://www.infraexpert.com/study/ipv6z3.html - 清水 理史(2019), IPv6ならネットから直接アクセスできる? 試して確かめよう, 清水理史の「イニシャルB」, INTERNET Watch, Impress Corporation
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/1163817.html - IP通信網サービスのインタ フェース第三分冊, NTT東日本
https://flets.com/pdf/ip-int-3.pdf - マルチキャストAging Time, マルチキャスト制御, 無線LAN親機 WHR-1166DHP4 エアステーション設定ガイド, BUFFALO, 2017.06, p39
https://www.buffalo.jp/support/download/detail/?dl_contents_id=4642 - 動作確認済みネットワーク機器一覧 (2022/7/1現在), 関連商品(ネットワーク機器), ご利用ガイド, ひかりTV, NTT DOCOMO
https://www.hikaritv.net/user/tuner/iptv/network/ - のろく (id:Number6)(2019), ひかりTVで画面が乱れがちなのをネットワーク構成を見直してなんとかした2, 六番, はてなブログ
https://no6.hatenablog.com/entry/2019/02/28/155040 - 雪夜猫(2017), ひかりTVを導入した, 日日是好日, Seesaa BLOG
https://yukiyoneko.seesaa.net/article/201709article_1.html
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